字幕は翻訳ではなく圧縮
字幕は画面に出ている時間と、一度に表示できる文字数に制限があります。人が話す速さより読む速さのほうが遅いため、せりふをそのまま写すと読み切れません。そのため字幕は必然的に縮めた結果であり、冗談や言葉遊び、繰り返される口癖は真っ先に消える部分です。 そのため字幕だけを見て人物の口調や性格を判断すると、本来の意図と違うことがあります。
字幕と吹き替えの違いは好みだけではありません。圧縮に近い字幕、吹き替えが変えるもの、それぞれ失うもの、翻訳が違ってくる理由と状況ごとの選び方をまとめました。
字幕は画面に出ている時間と、一度に表示できる文字数に制限があります。人が話す速さより読む速さのほうが遅いため、せりふをそのまま写すと読み切れません。そのため字幕は必然的に縮めた結果であり、冗談や言葉遊び、繰り返される口癖は真っ先に消える部分です。 そのため字幕だけを見て人物の口調や性格を判断すると、本来の意図と違うことがあります。
吹き替えは字幕の文字数の制限からは自由ですが、画面の人物の口が動く長さに合わせる必要があります。そのため、せりふの長さを合わせようとして表現が変わることがあります。代わりに画面を見続けられ、俳優の表情や背景の情報を見逃さないという利点があります。 また声優の演技が元の俳優とは違う解釈を加えることもあり、同じ人物が吹き替え版では少し違う性格に感じられることがあります。
二つの方式は失うものの種類が違います。その作品で何が大事かによって選び方が変わります。 結局はどちらが優れているかより、その作品で何を失っても惜しくないかを選ぶ問題に近いのです。
画面に情報が多い作品、字幕以外に読む文字が多い作品は、字幕で見ると視線が分散します。逆に声の演技そのものが大事な作品や、話し方が人物を説明する作品は、元の音声で聞くほうがよいです。アニメーションはもともと後から声を当てる形式なので、吹き替えへの抵抗が比較的少ない傾向があります。 ドキュメンタリーのようにナレーションの多いジャンルも、吹き替えや解説音声のほうが楽なことがあります。
字幕と吹き替えは、同じ原文から出発しても違う翻訳になることがよくあります。字幕は短く読めることが優先なので文を分けて削り、吹き替えは声に出したときに自然でなければならないので、話し言葉のリズムと長さを先に合わせます。そのため同じ作品を両方の方式で見ると、人物の口調や冗談のニュアンスが少しずつ違って感じられます。どちらかが原文により忠実だと言い切るのは難しく、それぞれ異なる制約の中で最善を選んだ結果と見るのが妥当です。違いが気になるなら、好きな場面をひとつ両方の方式で見比べるのがいちばん早い確かめ方です。
正解はありませんが、状況によってより良いほうはあります。同じ人でも、その日の疲れ具合や一緒に見る相手によって選び方が変わるのは自然なことです。 特に気に入った作品なら、一度は原語で、もう一度は別の方式で見て違いを楽しむのも良い方法です。
字幕の出来を作品そのものの出来と取り違えることは、思っている以上によくあります。ぎこちない字幕のせいで人物が妙に感じられたなら、別の字幕や吹き替えで見直すと印象が変わることもあります。また最初に触れた方式に慣れると、もう一方がどうしても不自然に聞こえますが、これは質の差というより慣れの問題であることが多いのです。何話もあるシリーズなら、途中で方式を変えずにひとつの方式で最後まで見るほうが没入しやすくなります。 字幕が台詞より遅れたり早く出たりするなら、作品ではなく字幕ファイルや設定の問題なので、別の字幕を選んでみるほうがよいでしょう。
同じ作品でも用意されている字幕が何種類かある場合があります。耳の不自由な人のための字幕は効果音や話者の情報まで表示するので、状況が複雑な作品ではそちらのほうが理解しやすいこともあります。字幕の大きさや位置を調整できるかも先に見ておくと、目が疲れにくくなります。 字幕の後ろに半透明の背景を敷けるなら、明るい場面でも文字が読みやすくなります。